【獣医師監修】子猫が鳴く理由と、鳴き声に隠された意味とは?成猫の鳴き声や病気の可能性なども解説
家族の一員として子猫を迎え入れたはいいものの、毎日夜泣きが止まらなかったり、鳴き続けていてどうしたらいいかわからない...。と頭を抱えている飼い主さんは多いのではないでしょうか。猫は鳴き声によって、飼い主さんに感情を伝えます。猫の鳴き声には色々な種類があり、鳴き声を理解することで、愛猫と円滑なコミュニケーションをとることができます。今回は、子猫が鳴く理由やそれぞれの鳴き声の意味について詳しく解説します。
また、成猫の鳴き声や鳴き声からわかる病気などもご紹介するのでぜひ最後までお読みください。
そもそも猫はどうして鳴くの?
そもそも猫はどうして鳴くのでしょうか。実は、猫の育ってきた環境や、子猫か成猫かによってその理由は異なります。
まずは「飼い猫と野良猫」「子猫と成猫」別に鳴き方の違いをみていきましょう。
飼い猫 | 野良猫 |
鳴く | ほとんど鳴かない |
猫は元々、自分の居場所を外敵に知られてしまったら危険が及ぶため、あまり鳴き声を出さない生き物です。したがって、野生下で生活する野良猫はほとんど鳴くことがありません。
反対に、飼い猫がよく鳴くのは、飼い主とのコミュニケーションのためです。「ご飯が欲しい」「遊んで欲しい」といった要求を伝えるために、飼い猫は鳴き声で気持ちを伝えます。
子猫と成猫の違い
子猫 | 成猫 |
よく鳴くが種類は少ない | 様々な種類の鳴き声で鳴く |
子猫が鳴く理由で最も多いのは、お腹を空かせているときです。その他にも、排泄がしたかったり、不安を感じた時に鳴いたりします。この頃の子猫は目がよく見えておらず、母親が近くにいないと大きな不安を感じてしまいます。子猫が鳴いている時は、不安要素を取り除いてあげるようにしましょう。成猫の場合は、喜怒哀楽を様々な種類の鳴き声で表現します。この後の章で、子猫と成猫の鳴き声についてそれぞれ詳しく解説していくので、参考にしてみてください。
《鳴き声別》子猫が鳴く理由
成猫ほどではありませんが、子猫の鳴き声にもいくつかの種類があります。
ここからは、子猫によくある鳴き声を4つご紹介します。
「ミーミー」「ニーニー」と鳴くとき
生まれて間もない子猫の鳴き声で、最も耳にする鳴き声だと思います。
子猫が「ミーミー」「ニーニー」と鳴いている時は、お腹が空いていて、母猫のおっぱいを要求する時です。生後1ヶ月くらいまでの子猫は、2〜3時間おきにミルクを飲んでは眠り、目が覚めると周りの状況を確認し、また「ミーミー」「ニーニー」と鳴いてミルクをせがむといった行動を繰り返します。このような鳴き方を子猫がした場合は、愛情を持ってミルクを与えましょう。母猫がいない場合は、猫用のミルクをあげるようにしてください。
ミルクは冷たすぎると下痢の原因になってしまうので、少しだけ温めたものを飲ませてあげてくださいね。
「ミャオミャオ」と鳴くとき
子猫が力強く「ミャオミャオ」と鳴いているときは、トイレに行きたいサインです。
声は大きめで、必死に鳴いているように聞こえます。まだ猫用ミルクが必要な時期の子猫は、自分自身で排泄することができません。本来であれば、母猫が排泄を促すのですが、母猫がいない場合は、飼い主さんが排泄行動をお手伝いする必要があります。
「ミャオミャオ」と大きな声が聞こえてきたら、トイレの準備をしましょう。
柔らかいコットンなどを人肌程度のお湯に浸したもので、股間、または肛門をトントンと優しく刺激してください。おしっこはミルクを与えるごとに、ウンチが1日〜2日に1回させてあげるようにしましょう。慣れないうちはなかなか排泄してくれない時もありますが、根気よくウンチが出るまで続けることが重要です。
「ニャーニャー」と元気に鳴くとき
生後2ヶ月ほどになると、子猫は家の中を歩けるようになり、鳴き声も徐々に成猫に近づいてきます。この時期の子猫が「ニャーニャー」と元気に鳴いたときは、飼い主さんに何かを要求しているサインになります。要求の内容はさまざまですが、基本的に「お腹が空いた」「遊んで欲しい」「かまって欲しい」といった内容が多くみられます。
また、鳴き声だけでなく成猫のように前足を出すなど、ボディランゲージでも訴えかけてくるので、子猫をよく観察するようにしてください。鳴き声と仕草を観察したうえで、何を求めているのかをしっかり汲み取ってあげるようにしましょう。
小さく「ミュウミュウ」と鳴くとき
生後1ヶ月くらい経って、少しずつ歩けるようになった子猫が、家の中を歩きながら「ミュウミュウ」と小さな声で鳴いているときも、「ニャーニャー」と同じように、何かを要求しているサインになります。この鳴き声の時の子猫は、基本的に母猫を求めていて「甘えたい」「寂しい」という感情になっています。私たちは母猫の代わりになることはできませんが、この鳴き声を聞いたときには、精一杯の愛情を持って子猫を可愛がってあげるようにしましょう。愛情を求めたときに応えてくれたという体験は、子猫と飼い主さんとの信頼関係に大きく結びつきます。
子猫の時期における飼い主さんとのコミュニケーションは、猫自身の性格に大きく関係します。
子猫のうちから知っておきたい、成猫が鳴く理由
成猫になるにつれて、子猫よりも多くの鳴き方で飼い主さんにさまざまな感情を伝えます。
ここからは、シチュエーション別に猫の鳴き声を解説していきます。
ポジティブな感情の鳴き声
短く発せられる「ニャッ」 | 挨拶や返事・親しみがこもっている |
「ニャオ」「ニャオー」 | エサが欲しい・構って欲しい |
食事中に聞こえる「ウニャ」 | ごはんが美味しい |
「ニャー」「ニャーン」「ミャー」 | 甘えている・リラックスしている |
■短く発せられる「ニャッ」
「ニャッ」という短い鳴き声は、親しみを感じている相手に使われます。
名前を呼ばれた時の返事などの、軽い挨拶だと考えましょう。
■「ニャオ」「ニャオー」
少し訴えかけるように「ニャオ」「ニャオー」と鳴くときは、エサが欲しいときや、構って欲しいときです。何かを飼い主に要求しているときにこの鳴き方をします。愛猫の動作を見て、何を求めているかを汲み取ってあげましょう。
■食事中に聞こえる「ウニャ」
猫が食事をしている時に聞こえる「ウニャ」はご飯が美味しいという満足感を伝えています。
■「ニャー」「ニャーン」「ミャー」
少し訴えかけるように「ニャー」「ニャーン」「ミャー」とかわいらしく鳴くのは、甘えていたり、リラックスしているときです。
ネガティブな感情の鳴き声
「シャー」「フーッ」と強く鳴く | 威嚇や拒絶の表れ |
叫び声のような「ギャッ」「ギャー」 | 強い痛みを感じている |
低い声で「ミャーオ」「アオーン」 | 不満や不安を感じている |
■「シャー」「フーッ」と強く鳴く
「シャー」「フーッ」といった低い唸り声は、相手を威嚇するときや、拒絶している際に使われます。猫同士が喧嘩しているときや、掃除機など大きな声が聞こえたときなどに反応します。このとき、無理に触ることは控えるようにしましょう。また、目線をあわせることで、猫はより恐怖を感じるようになるので、目線は合わさずにそっとしておくのがベストです。
■叫び声のような「ギャッ」「ギャー」
体を触った時などに「ギャッ」「ギャー」と大きな声で鳴くときには、どこかに痛みがあると考えた方がよいでしょう。
■低い声で「ミャーオ」「アオーン」
低く大きな声で、繰り返し「ミャーオ」「アオーン」などと鳴くのは、強めの要求や不機嫌のサインです。これらの要求にいちいち応えてしまうと、鳴けば要求が満たされると覚えてしまうので注意してください。また、構いすぎたときもこの鳴き方をする場合があります。
猫を構っていて、低い声で鳴きだしたら「もうやめて欲しい」のサインかもしれません。
そんな時はそっとしてあげましょう。
その他の特徴的な鳴き声
「ゴロゴロ」「グルグル」
猫が「ゴロゴロ」や「グルグル」と鳴らすときにはいくつかの意味があります。
最も多いのは、リラックスしているときや幸せを感じているときで、飼い主さんが撫でてあげると、喉をゴロゴロ鳴らす猫が多いです。一方で、ストレスフルな時もこの鳴き方をすることがあります。この場合は、安心している場合よりも若干大きめの声で鳴きます。
また、飼い主さんに何かを要求したい状況でもゴロゴロと鳴きます。この時の鳴き方は、リラックスしている時とは違うので、音の高さや表情の違いを見てあげるようにしましょう。
クラッキング
猫が外を眺めている時や、飛んでいる鳥や虫に向かって「ケケケッ」「カカカッ」などの鳴き声を発しているのを見かけたことはありませんか。これは、猫の狩猟本能から興奮した時に鳴く声であり、「クラッキング」と呼ばれています。猫が飼い主さんにクラッキングをする場合は、信頼関係により行うものなので心配する必要はありませんが、不満に思っている場合もあるので、猫の動作も見てあげるようにしてください。
サイレントニャー
猫がいつもと同じ表情で「ニャー」と鳴いているしぐさをしているのに、声が聞こえないことがあります。初めてサイレントニャーを見たとき、「声が出なくなったのか!?」と心配になる飼い主さんも多いかと思いますが、猫が飼い主さんにサイレントニャーをする理由は、母猫へ甘えているくらいリラックスしているからだといわれているので心配する必要はありません。
こんな鳴き声・行動なら発情している可能性も
発情期になると、雄・雌ともに発情期特有の行動が見られます。
雌の場合、発情期に入ると雄にアピールするために「ウォーン」と大きな声で鳴きます。人間の赤ん坊のような鳴き方をすることが有りますが、雄のことが多いようです。
この時の鳴き声は、ややどもっていてねっとりしたものが特徴で、長時間にわたって鳴き続けます。また、鳴き声以外では、背中を床につけて何度もくねくねしたり、トイレ以外の場所で粗相してしまうといった行為も見られます。
雄には厳密には発情周期はないのですが、発情期の雌の鳴き声に反応して発情します。
雌のように大きな声で鳴くことに加え、スプレー行動が目立つようになります。
猫の発情期について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
関連記事:猫の発情期はいつから始まる?見られる行動や対策方法などを徹底解説! 、猫の発情期は何か月から?期間や行動、困った行動への対策などを解説!
要注意!こんな鳴き声は病気やケガかも
発情期やクラッキングを除くと、いつもと違う声で鳴いたときは、ストレスや病気のサインかもしれません。ここからは病気やケガの可能性がある鳴き声についてご紹介します。
声がかすれている
猫の鳴き声がかすれているなら、鳴きすぎなどが原因で声帯に炎症を起こしている可能性が考えられます。また、声がかすれていることに加え、くしゃみや鼻水、目やになどがある場合には、猫風邪にかかっている可能性もあります。
主な症状は、鼻水、くしゃみ、せきの他には発熱、食欲低下、目ヤニ、流涙、結膜炎、角膜炎、よだれなどが挙げられます。重症化するとひどく衰弱し、命に関わることもあります。
猫風邪の代表的な種類としては、「猫カリシウイルス」「猫ヘルペスウイルス」「クラミジア」などが挙げられます。
苦しそう・痛そうに大声で鳴く
猫は自分の体調不良に気づかれないようにする生き物です。愛猫が物陰に隠れて苦しそうに「アオー」「オオー」と鳴く場合は、痛みに耐えている可能性が高いです。
猫が鳴くレベルになると、我慢できないほど辛い痛みを抱えていることもあります。
例えば排泄のときに痛そうな鳴き声をあげていたら、泌尿器科系のトラブルの可能性があります。血尿しているかどうかなどをチェックしましょう。また、食事のときに今までと違う鳴き方をするなら、消化器系にトラブルがあるのかもしれません。
その他にも、次のような異常が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 元気や食欲がない
- 嘔吐や下痢をしている
- 呼吸が荒く苦しそうにしている
- けいれんしている
異常な行動とともに急に鳴くようになった
今まであまり鳴かなかった猫が突然鳴くようになった場合は、脳内腫瘍などといった脳神経系の異常が起こっている可能性があります。もし以下のような症状が見られたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
- 立つことができない
- 真っ直ぐに歩けない、歩いてもよろけてしまう
- 目が見えていない、耳が聞こえにくい様子がある
- けいれん発作がある
また、高齢猫の場合、認知症の可能性もあります。 以下のような症状が見られたら認知症を疑うようにしてください。
- 無駄鳴き、夜鳴き
- 粗相をする
- 徘徊行動
- 性格や好みの変化
行動が活発的でよく鳴く
行動が活発でよく鳴くものの体重が落ちている様子が見られた場合は、甲状腺機能亢進症の可能性があります。猫は高齢になると甲状腺が腫大しやすい動物です。甲状腺が腫大するとホルモンの分泌量が増え、代謝が過度に活性化します。その結果として、猫は活発になるものの、痩せていき、臓器が疲弊し、結果として寿命が短くなってしまうのです。 この疾患は、高齢の猫でよくみられ、早期発見することが重要です。 以下のような症状が見られたら、甲状腺機能亢進症の可能性が高いので、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
- 体重減少
- 食欲亢進
- 嘔吐、下痢
- 多飲多尿
- 元気消失
愛猫のもしもに備えてペット保険に加入しましょう
ここまでは、子猫や成猫の鳴き声の種類や感情について詳しく解説しました。
鳴き声は感情表現だけではなく、ストレスや隠れた病気のサインになることもあります。
どんなに元気に見えていても、鳴き声で飼い主に異変を訴えている場合もあるのです。
愛猫と1日でも長く過ごすために、もしもの時に備えてペット保険に入ることをおすすめします。高額になりがちなペットの診療費に備えることで、いざという時に十分な治療を受けさせることができます。
いぬとねこの保険 保険料例
※ネクストとライトは、50%プラン・月払・インターネット割引・免責額適用特約セットの場合。ミニは70%プランのみ。インターネット割引は継続時には適用されません
まとめ
今回は、子猫や成猫の鳴き声の種類や、隠された意味について詳しく解説しました。
猫には様々な鳴き方があり、鳴き声によって、隠れた病気を見つけることができることもあります。また、ペット保険に加入することで、もしもの時に安心して治療ができます。ペット保険にはさまざまなプランがあり、どれも補償内容が異なるので、愛猫がかかりやすい病気を理解し、必要性に応じたペット保険を選べるようにしましょう。