【獣医師監修】猫の発情期はいつから始まる?見られる行動や対策方法などを徹底解説!
猫を飼育する際に理解しておかなければならないのが、発情期です。猫は1年に2〜3回ほど発情期を迎え、1回の発情期は10日近く続きます。発情期には、いつもと違った行動が見られ、トラブルを引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
今回は、猫の発情期が始まるタイミングや特徴的な行動、対策や避妊・去勢手術のメリット・デメリットなどを解説します。猫のお迎えを検討している方や、発情期の問題行動に悩んでいる方は必見です。
- 猫の発情期はいつから始まる?季節・周期は?
- 猫の発情期に見られる行動は?対策方法はある?《メス猫編》
- 猫の発情期に見られる行動は?対策方法はある?《オス猫編》
- 猫は不妊(避妊・去勢)手術をしたほうがいいの?
- 愛猫のもしもに備えてペット保険に加入しましょう
- まとめ
猫の発情期はいつから始まる?季節・周期は?
猫は、春と夏の終わり〜秋ごろに発情期を迎えます。この時期は、日照時間が長く、子育てがしやすいためです。
メスの場合、発情期は生後約10ヶ月ごろから始まります。ただし、半年ほどで発情期が始まる場合もあり(半年ぐらいが多いと思います。)、一概には言えません。特に、短毛種は発情期が始まるのが早く、長毛種は遅い傾向にあります。体が成熟していない状態であっても、発情期が始まるため注意が必要です。
メス猫には発情周期があり、以下の4つの期間を1サイクルとして繰り返します。
- 発情前期:約1〜5日間
- 発情期:約4〜10日間
- 発情後期:約1日間
- 発情休止期:約5〜16日間
なお、猫は犬のように周期的に出血することがありません。これは、猫は「交尾排卵動物」であり、交尾に反応して排卵するためです。そのため、出血はなく、妊娠する確率が高いのが特徴です。一方、犬や人間は「自然排卵動物」に該当し、決まった周期で排卵が起こるため出血があります。タイミングが合わないと受精しません。発情して交尾しても妊娠しないと発情期が繰り返します。
オスは、メスよりも発情期を迎えるのが遅く、基本的には生後7〜9ヶ月ごろに精子が作られ始めます。オスの特徴は、オスだけで発情することがない点です。発情したメスに呼応するように発情し始めます。
発情期に入ると、メス・オスともに行動に変化が見られます。特にオスの場合は、ほかのオスと喧嘩する、あちこちにマーキングをする、攻撃的になるなど、問題行動を起こすことがあります。ご近所トラブルの原因にもなるため、対策が必要です。
猫の発情期に見られる行動は?対策方法はある?《メス猫編》
前述のとおり、メス猫の発情期は以下の4つに分けられます。
- 発情前期
- 発情期
- 発情後期
- 発情休止期
それぞれ、見られる行動が変わります。まずは、発情期特有の行動を理解しましょう。
1:発情前期
発情前期は、以下のような変化が見られます。
- 飼い主に甘えるようになる
- 頭や首をこすりつける仕草を見せる
- 活発になる
- 排尿回数が増える
中には、食欲不振になったり、排泄を失敗したりする子もいます。
外見にはほとんど変化が現れませんが、行動には変化が見られるため、気づけるようにしましょう。
なお、この時期にオスが近寄ってきても、オスを許容することはありません。
2:発情期
発情期は、発情前期に見られた行動がより顕著に現れます。特に、以下のような行動が見られるのがポイントです。
- 活発になり、外に出たがるようになる
- 巻き舌で鳴く
- オスを呼ぶように吠える
- 飼い主に体を巻きつけて甘える
- 腰をくねらせる
- 床に体をこすりつける
- ディスプレイ(尻尾の付け根を触ると、伏せて腰を高くし、尻尾を外巻きにして足踏みする行為)が見られる
この時期になると、オスを許容するようになります。発情期でも出血は見られないため、万が一出血が確認される場合は、動物病院を受診しましょう。
発情期は、外に出たがるようになるため、脱走に注意が必要です。
3:発情後期
発情期に交尾をしなかったり、排卵が起こらなかったりした場合は、発情後期を迎えます。
発情後期には、発情行動が落ち着き、次第に見られなくなるのが特徴です。
この期間に、新たな卵胞が育ち、再度発情前期へと移っていきます。オスの交尾は受け入れません。
妊娠した場合は、約2ヶ月ほどで出産を迎えます。その後、子猫が離乳したタイミングで、再度妊娠できる状態になります。
4:発情休止期
次の発情までの休止期間です。発情休止期が終わると、再び発情が始まります。
排卵すると、黄体が形成されます。排卵したものの受精しなかった場合、黄体は40〜50日間ほどかけて退行します。この期間に見られるのが、偽妊娠です。偽妊娠とは、妊娠していないにもかかわらず、妊娠したかのような状態になることです。具体的には、以下のような変化が見られます。
- 乳腺が張る
- 母乳が出る
- 腹部が膨らむ
- 鳴き続ける
- 運動しなくなる
- 特定のおもちゃやぬいぐるみに強い愛着を持つ
- 攻撃的になる
猫の発情期に見られる行動は?対策方法はある?《オス猫編》
オスには、メスのような発情周期がありません。発情したメスの鳴き声やフェロモンに反応して、発情します。
発情したオスには、以下のような行動が見られるのが特徴です。
- 大声で鳴く
- スプレーする
- 外に出たがる
- 攻撃的になる
それぞれ見ていきましょう。
1:大声で鳴く
発情したオスは、自分の存在をアピールするかのように、大きな声で鳴きます。昼夜問わず鳴くようになるため、防音対策が欠かせません。
具体的には、以下のような対策が効果的です。
- 防音効果があるカーテンを利用する
- ケージの周りを段ボールで囲う
- ケージを壁から離して設置する
- 防音効果があるウォールステッカーを貼る
2:スプレーする
発情したオスの特徴的な行動として挙げられるのが、スプレー行為です。スプレーとは、縄張りをアピールしたり、メスを引き寄せたりするために、壁に向かって濃いおしっこをかける行為のことを指します。いわゆるマーキングであり、少しでも自分のおしっこの臭いが残っているところには、何度もスプレーするようになります。
玄関や部屋の壁、家具などにおしっこをかけるようになってしまうため、対策が必要です。スプレーしそうな場所に撥水性のシートを貼ったり、トイレシートを設置したりしましょう。おしっこの臭いを消すことも大切です。スプレーの臭いは落ちにくいため、酵素系の漂白剤を利用したり、何度もお湯で洗ったりして、綺麗に掃除しましょう。
スプレーをやめさせたい場合は、去勢が効果的です。去勢によって、90%なくなると言われています。去勢をしてもやめない場合は、ストレスや生活環境が原因であると考えられるため、生活環境を見直し、必要に応じて獣医師に相談しましょう。(スプレイが日常的になってから去勢してもスプレイが消えない事が結構あります。)
3:外に出たがる
発情すると、メスの鳴き声や匂いがする方向に向かおうとします。落ち着きがなくなり、外に出たがるようになるため、脱走に注意が必要です。ドアを開けた瞬間や、洗濯物を干すために窓を開けた時など、隙をついて出て行ってしまうことがあります。
発情した状態で外に出てしまうと、ほかのオスと喧嘩したり、メスを妊娠させたりと、さまざまなトラブルにつながります。近隣の家にスプレー行為をしたり、怪我をさせたりするリスクもあるため、外には出さないようにしましょう。
脱出を防ぐためには、玄関やベランダ、窓などに、脱走防止用の柵を設置するのが効果的です。また、そもそも廊下や玄関に近づけないようにする、留守番時はケージに入れる、などの対策も重要です。
4:攻撃的になる
発情したオスは、攻撃的になる点にも注意が必要です。多頭飼いの場合は、ほかのペットを傷つけてしまう可能性があります。
また、外出してほかの猫と喧嘩し、怪我をしてしまうリスクも否めません。傷口から細菌やウイルスが入り込み、病気に感染して治療が必要になることもあるでしょう。治療できない危険な感染症をもらってしまうこともあるため、愛猫を守るためにも、外に出さないことが大切です。
猫は不妊(避妊・去勢)手術をしたほうがいいの?
発情期に見られる問題行動の対策として、避妊や去勢手術を行う、という方法があります。しかし、手術というと抵抗がある方も多いでしょう。
基本的には、子どもを作る予定がない場合は、不妊手術を行うのが望ましいです。
不妊手術は、生後6ヶ月ごろから、初めての発情期を迎えるまでの時期に行うのが適しています。早い段階で手術することで、傷跡が小さく済んだり、痛みを忘れやすかったりといったメリットがあります。ただし、あまりにも小さいうちに行うと、麻酔による負担が大きくなったり、気管に入れるチューブが入らなかったりするため、注意が必要です。猫によって成長のスピードは異なるため、獣医師と相談したうえで、適切なタイミングを見極めましょう。
ここでは、不妊手術のメリットとデメリットを解説します。
不妊(避妊・去勢)手術のメリット
不妊手術を行うメリットは、以下のとおりです。
- 望まない妊娠を防げる
- 発情期の問題行動を防げる
- 発情に伴う体の不調を防げる
- 乳腺腫瘍や卵巣、子宮などの病気を予防できる
大きなメリットは、望まない妊娠を防げることです。猫は、交尾をすると妊娠する確率が非常に高く、1回の出産で最大8匹の子猫を出産します。猫を育てるためには、相応のスペースや費用が必要であり、飼えない場合は里親を見つけるしかありません。命を無駄にしないためにも、飼い主が責任を持って対策する必要があります。
発情期の問題行動を防げたり、発情に伴う体の不調を防げるのもポイントです。発情期は、猫と飼い主双方に負担がかかります。不妊手術をすることで、ストレスなく過ごせるようになるでしょう。
また、乳腺腫瘍や卵巣、子宮などの病気を予防できるというメリットもあります。ほかの猫と喧嘩して感染症を発症してしまうリスクも防げるため、猫の健康を維持するためにも効果的です。
不妊(避妊・去勢)手術のデメリット
一方、不妊手術には以下のようなデメリットがあります。
- 一度手術をすると妊娠できない
- 体に一定の負担がかかる
- 術後は太りやすくなる
当然ですが、不妊手術を一度行うと、二度と子どもを作ることはできません。
また、不妊手術では麻酔を使用するため、体に一定の負担がかかります。もちろん、病院側も安全に最大限配慮したうえで手術を行いますが、リスクがゼロではない点は理解しておきましょう。
さらに、術後はホルモンバランスが崩れて太りやすくなるため、体重管理に注意が必要です。メスは、食欲を抑える働きを持つエストロゲンが減少します。オスは、テストステロンが減少し、穏やかになることが多いです。同時に、積極的に運動をしなくなり、太りやすくなります。
食事量を見直す、体重ケア用のフードを選ぶなどして、体重管理に努めましょう。術後すぐは安静にする必要がありますが、問題なく動けるようになったら、一緒に遊ぶ時間を積極的に設けることも大切です。
愛猫のもしもに備えてペット保険に加入しましょう
愛猫がケガをしたり、病気にかかったりした際は、すぐに対処する必要があります。その際にネックなのが、医療費です。猫には、人間のように公的な保険制度がないため、治療費は原則飼い主が全額負担しなければなりません。病気や怪我の度合いによっては、1回の治療で数万円の費用がかかることもあります。
愛猫のもしもに備えたい場合は、ペット保険に加入するのがおすすめです。ペット保険に加入していれば、自己負担額を軽減できます。高額な費用がかかる治療を選択しやすくなるのもメリットです。
ペット保険に加入する際は、月々の保険料やプラン内容をよく確認し、自身にあったものを選びましょう。
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まとめ
発情期を迎えた猫は、鳴き声をあげる、外に出ようとする、攻撃的になる、マーキングをするなど、特徴的な行動が多く見られるようになります。問題行動が見られるケースもあるため、対策が必要です。
問題行動を防いだり、望まない妊娠を防いだりするためには、去勢や避妊手術が効果的です。手術の内容やタイミングなど、獣医師によく相談し、納得したうえで手術を行いましょう。
愛猫の万が一の怪我や病気に備えられるよう、ペット保険に加入することもおすすめです。