猫の目やにの原因とは 危険な症状や対処法、目薬のさし方を徹底解説
愛猫の目元に悩みを抱える飼い主さんは多いのではないでしょうか。特に「目やに」は悩みの原因としてかなり多いかと思います。目やにが出ていても元気なこともありますが、猫の目やには病気などのサインであるケースもあるので注意が必要です。
今回は、猫の目やにの原因を始めとして、危険な症状や対処法、目薬の具体的なさし方などを詳しくご紹介します。愛猫の目やにが気になっている方は、ぜひ最後までお読みください。
- 猫の目やにとは?
- 猫に目やにができる原因
- 猫の目やにの原因となる病気は?
- 目やにが出やすい猫の種類は?
- 子猫に目やにが出る時は要注意
- 正常な目やにと危険な目やにの見分け方は?
- 猫の目やにの拭き取り方
- 猫の目薬のさし方
- 猫の目の病気は飼い主にもうつる?
- 愛猫の病気に備えてペット保険も検討を
- まとめ
猫の目やにとは?
「目やに」とは、目を保護している粘液に、古くなった細胞、目に入ったほこり、ゴミなどの老廃物が混ざってできたものです。生理現象によって出るものなので、少量であれば愛猫に目やにが出ていても心配する必要はありません。また、寝起きに目やにが出ることもありますが、この場合も就寝時にまばたきをしないことで、目頭にある鼻涙管に流されるべき分泌物が目頭にたまってしまうことが原因なので、少量であれば問題ありません。
猫に目やにができる原因
健康な猫であれば、目やには少量しか出ませんが、感染症や結膜炎などの目の病気によって目やにが増えることがあります。人間と同じように、目の表面に病原菌や異物が付着すると、それらを排除しようとする免疫機能が働くからです。
また、ゴミなどの異物が入ったり、猫同士のケンカによって角膜が傷つき、目やにが増える場合もあります。
猫の目やにの原因となる病気は?
次に、猫の目やにが増える原因となる病気について9つご紹介します。
猫カゼ(上部気道感染症)
猫カゼとは、人間でよくある風邪と似た、鼻やのど、咽頭の感染のことを指します。
主な原因となるウイルスは猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスです。
くしゃみや鼻水、食欲不振などの症状が見られ、同時に目の症状も引き起こし、ひどい場合は目やにが固まることで瞼が開かなくなってしまうこともあります。
目やにの他にも、目がしょぼしょぼする、目が赤い、涙が出るのも同じように風邪のウイルスが原因でおこっているかもしれません。
角膜炎
角膜炎とは、目の黒目部分の表面をおおっている角膜が炎症を起こした状態をいいます。
他の猫とのケンカによる傷や、異物が目に入り、目を強くこすったりすることなどが原因で角膜が刺激を受けるためにおこります。
主な症状としては、目を痛がりしばしばさせたり、涙や目やにで目の周りが汚れるなどがみられます。
結膜炎
結膜炎とは、まぶたの裏側にある結膜が炎症を起こす眼の病気です。
主に猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどの感染症が引き金となって発症します。
結膜炎になると、結膜が赤く腫れて涙が出る、目やにが出る、むくむなどの症状が出ます。
ひどい場合には、瞼がくっついてしまい眼が開かなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
眼瞼内反症とは、まぶたのふちが内側(眼球側)に入ってしまう病気で、下まぶたにおこりやすく、主に遺伝や体重の極端な減少などで発症します。
まぶたが内側に入ることにより、眼を守っている角膜にたくさんの毛が当たり、目をこするしぐさ、目やに、まぶたのけいれんなどの症状がみられます。
流涙症(鼻涙管閉塞)
流涙症とは、目から涙が溢れ出て、目から鼻の周りにかけての顔を濡らしてしまう、涙の異常流涙を起こす病気です。常に涙を流しているので、目から鼻にかけての皮膚は涙やけで赤茶色に変色していきます。また、ゼリー状の目やにがついていることも多く、目をこする動作が増えたり、眩しそうなまばたきを繰り返したりすることがあります。
鼻炎
猫の鼻炎は、鼻の粘膜の炎症により、鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなどの症状が見られる病気です。主に猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどの感染症が引き金となって発症します。一般的な症状はくしゃみと鼻水ですが、目と鼻は鼻涙管でつながっているため、鼻涙管も炎症を起こし、涙が溢れたり、目やにが出るなどの症状もみられます。
ドライアイ
猫のドライアイは、涙を分泌する涙腺の分泌機能が低下してしまうことによって、涙が角膜全体に広がらず乾燥してしまい、目の表面に傷が生じる病気です。
ドライアイになると、角膜や結膜に炎症を起こし、白または黄色いネバネバとした目やにが目を覆うほど出てきます。初期の段階だと結膜炎や角膜炎と間違えがちですが、結膜炎用などの目薬で治らない場合はドライアイを疑いましょう。特に涙の量が減る老猫は注意が必要です。
ブドウ膜炎
ブドウ膜炎とは、眼の中のブドウ膜という膜に炎症が生じる病気です。
感染症からブドウ膜炎を発症することも多く、全身的な病気が発端となり、全身疾患のひとつの症状としてブドウ膜炎を発症しているケースも多いので、早期発見が重要です。
ブドウ膜炎にかかると、瞳孔が小さくなったり、涙が多く出て目やにの量も増えるなどといった症状がみられます。
目やにが出やすい猫の種類は?
ペルシャや
ヒマラヤン、
エキゾチックショートヘア
といった短頭種の猫は、鼻涙管が詰まりやすいため、涙やけや涙が止まらないといった症状がみられがちです。さらに細菌感染が加わると、目やにが出やすくなります。
子猫に目やにが出る時は要注意
子猫はまだ免疫力が低いため、細菌・ウイルス性の感染症によって結膜炎を引き起こし、目やにが増えることがあります。その中でも最も多い原因が「猫カゼ」によるものです。
猫カゼは、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、クラミジアなどのウイルスが、上部気道から感染することによって発症します。子猫の場合、親猫や周りの猫から感染してしまうケースも少なくありません。この場合、白や黄色、緑色の目やにが両目に出ることが多く、流涙や充血などの症状も同時に見られることが多いでしょう。
このような症状が見られたり、生後10日が経ったのに目を開けづらそうにしている場合は、なるべく早く動物病院で診てもらいましょう。
正常な目やにと危険な目やにの見分け方は?
猫の目やにが病気やケガが原因かどうかを判断するときは、以下の特徴を参考にして見分けるようにしましょう。
正常な目やにの特徴
正常な目やには、白色・赤褐色からこげ茶くらいの色合いをしていて、少量で固まっているか、固まっていなくても1日に1回拭き取れば十分です。
健康な猫であれば、大量の目やにがべったりと付くようなことはありません。
注意が必要な目やにの特徴
注意するべき目やにを3つご紹介します。
■黄や緑色の目やに
このような目やには、先ほど述べたようなウイルスや細菌感染を引き起こしている可能性があります。
■血液が混ざった目やに
目の周りをケガした際に、血液の混ざった目やにが出ることがあります。
眼球を傷つけてしまった場合、失明の恐れもあるため放置しないようにしましょう。
■ゼリー状の目やに
通常であれば目やにはやや乾燥していますが、ふやけたゼリー状の目やにが出る場合は、涙などの水分が多く混ざっているので、「流涙症」を疑いましょう。
上記のような目やにが見られた場合は、できるだけ早く動物病院に連れていくことがおすすめです。重症化する前に、普段の目やにとは色や粘度が違うなと感じた場合は、早めの対策をしましょう。
猫の目やにの拭き取り方
健康な猫でも、少しは目やにが出るものです。毎日1回はしっかりチェックして、汚れていたら湿らせたカット綿でお手入れをしましょう。以下に目やにの拭き取り方の手順をご紹介します。
①38℃程度のぬるま湯を用意してカット綿を浸し、水が滴らない程度に、指先でカット綿をギュッと絞ります。
②人差し指に湿らせたカット綿を乗せるようにして、猫の目頭の下側をそっと押さえるようにしましょう。そのまま鼻の方へサッとスライドさせるように拭きます。
嫌がってしまう場合には、一気に全てを取ろうとせずに片目ずつお手入れすることも方法の一つです。ゴシゴシ擦らずに、手早くサッと拭くのがポイントです。
乾いたティッシュを使ったり、ゴシゴシ擦ったりしてしまうと目の周りを傷つけ炎症を起こしてしまう可能性があるため、注意してくださいね。
猫の目薬のさし方
動物病院で受診をした際には、目薬を処方されることもあります。
いざという時にスムーズに点眼ができるように、目薬のさし方の手順をご紹介します。
①猫の背後に回り、手のひらで優しく顔を支えます。目薬をさす方の上まぶたを、親指で軽く引き上げてください。
②猫の視界に入らない角度から目薬を近づけ、目の約1cmの高さから、上まぶたと白目の間を狙って目薬を1滴さします。なるべく素早くさすように心がけましょう。
暴れやすい場合は、椅子に座り、猫を脚の間に挟んで固定させると点眼しやすくなりますよ。もしも怖がっていたら、タオルでくるんであげるのも効果的です。
上手にできたら、おやつをあげたりおもちゃで遊んだり、愛猫の喜ぶことをして褒めてあげましょう。
人間用の目薬でも良いの?
猫に人間用の目薬は使えません。動物用の目薬と人間用の目薬では、含まれる成分の量が異なるため、人間用の目薬を使ってしまうと、炎症が起きたり、最悪の場合には失明にも繋がる危険があります。愛猫の目に異変を感じた際は、動物病院で診察をしてもらい、症状にあった種類の目薬を処方してもらうのが一番です。人間用の目薬は決して使用しないようにしましょう。
エリザベスカラーを付けて予防するのもOK
目の疾患の予防として、エリザベスカラーを装着することもおすすめです。
エリザベスカラーを着けることで、足で顔を掻いたり、目を気にして床に顔を擦り付けにくくなります。装着初期は戸惑うかもしれませんが、2〜3日様子を見ながら、愛猫が生活しやすいようにサポートし、少しずつ慣れさせていきましょう。
猫の目薬のさし方
猫の目の病気は、病気の種類によっては人間に感染するものもあります。
目やにの原因のひとつである猫カゼは、風邪という名前のため、人に感染するようなイメージを持たれがちですが、猫カゼは感染しません。
しかし、猫クラミジアは、わずかな可能性ではありますが人にも感染します。
猫の目やにや鼻水への接触感染、くしゃみによる飛沫感染などが考えられます。
愛猫に目の疾患の症状や、注意すべき目やにが出ている場合には、ケアをした後には必ず手洗いを行うようにしましょう。また、結膜炎などの症状が出ている場合は、感染の恐れがあるため、一緒の布団で眠るなどはNGです。
人と動物に共通する感染症を「人獣共通感染症」といいます。
人獣共通感染症に感染した人間から猫に病気が移ることもあるので、飼い猫以外の猫と接触した後は、手洗いをするなどして感染しないように注意しましょう。
愛猫の病気に備えてペット保険も検討を
目やには病気のサインになることがあり、たかが目やにだと思って放っておくと、取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。
また、猫の病気やケガは、予兆なくいきなりやってくることもあります。突然の手術で高額な医療費がかかる場合もあるでしょう。
そんな愛猫の"もしも"の時のために、ペット保険に入ることをおすすめします。高額になりがちなペットの診療費に備えることで、いざという時に十分な治療を受けさせることができます。
いぬとねこの保険 保険料例
※ネクストとライトは、50%プラン・月払・インターネット割引・免責額適用特約セットの場合。ミニは70%プランのみ。インターネット割引は継続時には適用されません
まとめ
今回は、猫の目やにの原因や対処法について詳しく解説しました。
目やには健康な猫にも出るものですが、目やにの種類によっては病気が隠れている可能性があります。また、ペット保険に加入することで、もしもの時に安心して治療ができます。ペット保険にはさまざまなプランがあり、どれも補償内容が異なるので、愛猫がかかりやすい病気を理解し、必要性に応じたペット保険を選べるようにしましょう。