【獣医師監修】子犬がご飯を食べない9つの原因と対処法を徹底解説!
「子犬がなかなかご飯を食べてくれない」「新しいフードに変えたらいきなり食べてくれなくなった」など、子犬がご飯を食べずに悩んでいる方は少なくないでしょう。子犬がご飯を食べない場合は、9つの理由が考えられます。それぞれ対処法が異なるため、まずは原因を特定したうえで、然るべき対応をすることが大切です。
ここでは、子犬へのご飯のあげ方や、子犬がご飯を食べない9つの原因、それぞれの対処法について解説します。子犬のご飯で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- 子犬への基本的なご飯のあげ方は?
- 子犬がご飯を食べない原因1:ストレス・生活環境の変化による不安
- 子犬がご飯を食べない原因2:ご飯の量が多い
- 子犬がご飯を食べない原因3:おやつのあげすぎ
- 子犬がご飯を食べない原因4:運動不足(お腹が空いていない)
- 子犬がご飯を食べない原因5:ご飯が食べづらい・おいしくない
- 子犬がご飯を食べない原因6:体調不良・病気
- 子犬がご飯を食べない原因7:誤飲誤食
- 子犬がご飯を食べない原因8:偏食
- 子犬がご飯を食べない原因9:成長の過程
- 子犬がご飯を食べないときは人間の食べ物をあげてもOK?
- 愛犬のもしもに備えてペット保険に加入しましょう
- まとめ
子犬への基本的なご飯のあげ方は?
子犬にご飯をあげる際は、回数やあげ方に注意が必要です。
小さいうちは、1日3〜4回ほどに分けて与えましょう。子犬の時期は胃が小さく、低血糖になる可能性も高いため、少量をこまめに与えることが大切です。体の成長とともに、1日2回に切り替えていきましょう。
ご飯をあげる際は、フードをぬるま湯でふやかし、柔らかくしてください。ただし、いつまでも柔らかいフードをあげていると、硬いフードを食べなくなってしまいます。成長とともに徐々に水分量を減らし、硬いフードに移行することがポイントです。ペットショップやブリーダーさんが与えていたフードの柔らかさに調整すると、スムーズに食べてくれるでしょう。
子犬のご飯を選ぶときのポイント
ドッグフードには、総合栄養食と一般食があります。
総合栄養食は、1日に必要な栄養をバランスよく摂取できるものです。一般食は、美味しさを重視したフードで、人間でいう副菜やおやつのような存在です。一般食を与えることで、食事に変化が生まれ、食いつきが悪い子の食欲を増進させられる効果が期待できます。しかし、一般食だけで必要な栄養を網羅するのは難しい点に注意しましょう。
ドッグフードは、硬さによってドライフードとウェットフードにも分けられます。
ドライフードは、水分を含まない、硬いフードです。胃で膨らむため満腹感を得やすく、総合栄養食の多くがドライフードです。
子犬の時期は、ドライフードをふやかして与えましょう。歯や顎が小さく、噛むのに苦労してしまうためです。熱湯をかけると栄養が破壊されてしまうため、30〜40度程度のぬるま湯でふやかしてください。
ウェットフードは、水分を多く含む、柔らかいフードです。嗜好性が強く、食いつきがよいのが特徴です。栄養バランスが取れたものもありますが、食いつきを重視しているため、ウェットフードだけで必要な栄養を摂取するのは難しいでしょう。中には、着色料や添加物を使用しているものもあります。美味しいウェットフードに慣れさせると、ドライフードの総合栄養食を食べてくれなくなるため、適度に与えることが大切です。
ペットショップやブリーダーさんからお迎えしてすぐは、なるべくこれまでに食べていたフードを与えるとよいでしょう。いきなりフードを変更すると、お腹を壊してしまったり、食べなくなったりするためです。もちろん、その後ずっと同じフードを与え続ける必要がありません。新しいフードに切り替える際は、いつものフードに少し混ぜ、徐々に割合を増やしていくとスムーズです。
子犬がご飯を食べない原因1:ストレス・生活環境の変化による不安
子犬にご飯を与えても、食べてくれないことがあります。子犬がご飯を食べない原因の1つが、ストレスや生活環境の変化による不安です。人間も、ストレスで食事が喉を通らないことがあるでしょう。
特に、ペットショップからお迎えしたばかりのタイミングでは、生活環境の変化にストレスを感じ、食欲がなくなってしまうことがあります。
以下のような行動が頻繁に見られる場合は、ストレスを感じている可能性が高いです。
- 舌なめずりをする
- 飼い主と目をそらす
- 足をなめる
対処法は?
生活環境の変化による食欲不振は、慣れると落ち着くことが多いです。
一方、飼育環境が合っていなかったり、飼い主が構ってくれない/構いすぎたりしてストレスを感じている場合は、ストレスの原因を改善しなければなりません。部屋の暑さや寒さ、物音やテレビの音量、ほかのペットの存在など、子犬がストレスを抱える要因はさまざまです。飼育環境を見直し、子犬が安心して快適に過ごせる環境づくりを進めてください。
飼い主が子犬に構いすぎないことも大切です。子犬の気持ちに寄り添い、ゆっくり信頼関係を築きましょう。
子犬がご飯を食べない原因2:ご飯の量が多い
1回のご飯の量が多く、お腹が空いていないという理由も考えられます。特に、小型犬は胃が小さく、消化に時間がかかって次のご飯までに空腹を感じない可能性が高いです。
対処法は?
1回に与えるご飯の量を減らし、代わりに食事の回数を増やしましょう。
フードが高く、消化に時間がかかってしまうこともあります。その場合は、フードをふやかす時間を長くして、消化しやすい柔らかさに調整するのが効果的です。
子犬がご飯を食べない原因3:おやつのあげすぎ
おやつをあげすぎると、おやつでお腹がいっぱいになり、フードを食べてくれなくなります。
特に子犬の時期は、可愛さゆえに思わずおやつをあげすぎてしまうでしょう。おやつのあげすぎで主食を食べなくなると、成長に必要な栄養が不足してしまうため、注意が必要です。また、おやつの美味しさに慣れてしまうと、ドライフードを食べなくなってしまうリスクがあります。
おやつとしてドライフードを与えると全体の量や栄養を管理しやすくなります。
対処法は?
1日にあげてよいおやつの量を決めておきましょう。家族がバラバラにおやつを与えていると、上限を超えてしまいます。家族全員でルールを共有し、子犬の健康のためにも、ルールを守るよう徹底してください。
しつけのご褒美を与えたい場合は、おやつよりもドライフードを与えるのがおすすめです。
子犬がご飯を食べない原因4:運動不足(お腹が空いていない)
運動量が不足していると、消費カロリーが減ってしまい、お腹が空かなくなります。特に、予防接種が完了していない時期は、散歩に連れていけず、運動量が不足しがちです。
対処法は?
予防接種が完了した後は、お散歩に連れていき、運動量を確保しましょう。
外出ができない場合は、室内でおもちゃを使って遊ぶだけでも十分です。おもちゃを選ぶ際は、以下のポイントに注目しましょう。
- 犬のサイズに合っているか
- 強度は十分か
- 犬の好みに合っているか
サイズに合わないおもちゃを選んでしまうと、遊んでいる最中に怪我をしてしまう可能性があります。おもちゃには、適した年齢や体のサイズが記載されているため、確認したうえで買ってください。
噛んだり振り回したりと自由に遊べるよう、強度も重要なポイントです。壊れてしまうと、壊れたパーツを飲み込んだり、怪我をしたりする危険性があります。
犬の好みに合っているかも重視してください。おもちゃを複数用意し、好みのおもちゃを見つけましょう。
子犬がご飯を食べない原因5:ご飯が食べづらい・おいしくない
子犬がご飯を食べない理由として特に多いのが、ご飯が食べづらい・おいしくない、というものです。
フードが硬くて食べづらい、粒が大きくて噛むのが大変という場合は、食欲を失ってしまいます。
また、ご飯の味が気に入らなかったり、新しいフードに抵抗感があったりして、食いつきが悪くなることもあります。
対処法は?
硬くて食べづらい場合は、ふやかす時間を長くしましょう。10〜15分ほどぬるま湯につけると、かなり柔らかくなります。ただし、いつまでもふやかしたフードを与えるのではなく、硬いフードにも慣れさせることが必要です。
粒が大きい場合は、ビニール袋に入れて砕いたり、ミキサーを使ったりして、細かくしましょう。
フードを切り替える時は、徐々に新しいフードに慣れさせましょう。まずは全体の20〜25%程度を新しいフードにするのがおすすめです。2日経ったら50%、さらに2日経ったら75%、というように、1週間ほどかけて切り替えると、スムーズに移行できます。
子犬がご飯を食べない原因6:体調不良・病気
体調不良や病気が原因で、食欲不振に陥っている可能性も考えられます。ご飯を食べない状態が2〜3日以上続く場合は、動物病院を受診しましょう。
体調不良や病気の際は、食欲不振以外にも、以下のような症状が見られます。
- 嘔吐・下痢が続く
- いつもは食べるおやつも拒否する
- 水を飲まない
- 元気がなくぐったりしている
- 体が震える
- ずっと寝ている
特に、子犬の時期は些細なストレスが原因で体調を崩したり、消化の悪いご飯によって消化不良を起こしたりすることがあります。
対処法は?
無理矢理ご飯を食べさせようとせず、体調の変化を観察し、獣医師に相談しましょう。病気によって対処方法は変わります。食欲不振以外の異常が見られない場合であっても、2〜3日ご飯を食べない場合は、必ず動物病院を受診してください。
体調不良や病気に気づくためには、日頃から子犬の様子をよく観察することが大切です。スキンシップを積極的にとり、小さな変化にもすぐ気づけるようにしましょう。病気によっては、早期発見・早期治療が非常に重要な場合もあります。
子犬がご飯を食べない原因7:誤飲誤食
子犬に多いのが、誤飲誤食による食欲不振です。好奇心旺盛な子犬は、危険なものであってもなんでも口にしてしまいます。目を離した隙に誤飲誤食をしてしまい、気づくのが遅くなってしまうケースもあるため注意が必要です。
中には、犬に与えるとアレルギーや中毒症状を引き起こす食べ物や、体内に入ると食道や胃腸を傷つけてしまうもの、腸に詰まってしまうものもあります。
食欲不振のほか、嘔吐や下痢、痙攣、震え、血便といった症状が見られる場合は、誤飲誤食を疑いましょう。
対処法は?
誤飲誤食をしている最中に気づいたら、すぐに口の中から取り除き、動物病院を受診しましょう。
すでに食べ終わっており、食べたものが危険な場合は、代謝される前に吐かせる処置が必要です。動物病院で催吐処置をしてもらいましょう。飼い主が無理矢理吐かせるのは危険なため、必ず病院に連れて行ってください。
食べたものによっては、麻酔をかけて摘出することもあります。
動物病院に連れて行く際は、食べたものや量、タイミング、これまでの症状などを細かく説明できるとスムーズです。
子犬がご飯を食べない原因8:偏食
人間と同様に、味や食感が好みに合わず、ご飯を食べてくれないことも少なくありません。元気であるにもかかわらずご飯を食べない、食欲不振以外の症状が見られないという場合は、偏食の可能性があります。
ころころとフードの種類を変えると次はどんなエサが来るのかと考えたベガ悪くなる場合があります。出来るだけ同じ餌を与えることが大事です。
子犬の好みに合わせておやつや食いつきがよい一般食ばかり与えたりすると、主食を食べなくなり、栄養が偏ってしまいます。偏食を放置せず、子犬の時期に直すことが大切です。
対処法は?
「ご飯を食べなかったらおやつをもらえる」と思わせてしまうと、偏食がよりひどくなってしまいます。
偏食を直すためには、食べなかったフードを片付け、次のご飯まで何も与えないのが効果的です。「今フードを食べないとしばらくご飯をもらえない」と思わせることが大切です。
この時、ご飯をいつまでも放置していると、長時間空気に触れることで腐敗が進んでしまいます。フードは20〜30分ほど経過したら、処分しましょう。
フードを食べてくれたら、愛犬をたくさん褒めることも欠かせません。
子犬がご飯を食べない原因9:成長の過程
成長の過程で、ご飯を食べなくなることがあります。
子犬は、生後半年〜1年ごろに反抗期を迎えることがあります。飼い主の言うことを聞かなくなり、あえてフードを食べなくなる時期です。
また、成長の結果、食欲が落ち着いたという可能性もあります。子犬は、成長のために多くのエネルギーを必要とします。成犬に比べて、2倍のエネルギーが必要とされているほどです。成長が進み、生後半年ごろをすぎると、食べ盛りが過ぎて自然と食事量が減少します。
対処法は?
反抗期の子犬に対しては、甘やかさないことが大切です。反抗期の子犬は、あえてご飯を食べず、飼い主の反応を伺っています。ここで、ご飯を食べてもらおうとおやつを与えてしまうと、味を占めてますますご飯を食べなくなってしまうでしょう。また、「反抗すれば飼い主が言うことを聞いてくれる」と理解してしまい、しつけに失敗してしまう可能性もあります。
一方、成長の結果自然と食欲が落ち着いている場合は、食欲に合わせてご飯の量を減らしてあげましょう。ご飯を無理に食べさせる必要はありません。むしろ、エネルギー過多になり、肥満の原因になってしまいます。
子犬がご飯を食べないときは人間の食べ物をあげてもOK?
子犬がご飯を食べないからといって、人間の食べ物を与えるのはNGです。人間がよく口にするものの中には、犬が食べてはいけない危険な食べ物もあります。たとえば、玉ねぎやニラなどのネギ類は、中毒症状を引き起こすため、犬に与えてはいけません。犬にとって危険な食材が含まれていると知らずにあげてしまう可能性もあるため、人間の食べ物は与えないようにしましょう。チョコレートやレーズンも与えてはいけません。
人間の食べ物を与えることで、さらに ドッグフードを食べなくなる可能性もあります。人間の食べ物は、味付けが濃く、子犬にとっても美味しく感じることが多いです。ドッグフードを食べなければ人間の食べ物をもらえる、と学習してしまうと、よりドッグフードを食べなくなってしまいます。
好き嫌いせずドッグフードを食べられるよう、きちんとしつけてあげることが飼い主の役割です。
愛猫のもしもに備えてペット保険に加入しましょう
愛犬が病気になったり怪我をしたりした際は、迅速な処置が欠かせません。しかし、高額な医療費がネックとなり、望ましい治療が行えない可能性もあります。ペットには公的な保険制度がないため、医療費は全額飼い主の自己負担です。
ペット保険に加入していれば、万が一の事態が発生した際も、安心して対応できます。
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まとめ
子犬がなかなかご飯を食べてくれない場合は、まずは原因を特定しましょう。主食を食べてくれないからといって、食いつきのよいフードやおやつばかりを与えてしまうと、栄養が偏ってしまいます。
体調不良や病気が理由で食欲不振に陥っている場合は、速やかに動物病院を受診することが大切です。いずれにしても、子犬の状態をよく観察し、適切に対処できるようにしましょう。