猫の分離不安症とは?症状や改善策を解説
「留守番をさせると猫が物を壊してしまう」
「大声で鳴いて近所の人に迷惑をかけてしまう」
このような場合は、猫の分離不安症が疑われます。分離不安症になると、飼い主と離れることに強い不安やストレスを感じ、問題行動を起こしてしまうため注意が必要です。
今回は、猫の分離不安症について、原因や症状、なりやすい猫の特徴などを解説します。
予防法や対処法も紹介しているため、愛猫に分離不安症の疑いがある方や、猫をお迎えしたばかりの方は、ぜひ参考にしてください。
- 猫の分離不安症とは?
- 猫が分離不安症になる原因とは
- 分離不安症の症状とは
- 分離不安症になりやすい猫の特徴とは?
- 猫を分離不安症にしないための予防法とは
- 愛猫が分離不安症になってしまった時の対処法は?
- 愛猫のもしもに備えて保険に加入しましょう
- まとめ
猫の分離不安症とは?
猫の分離不安症とは、愛着を持っている人と離れた時に強いストレスを感じ、鳴いたり物を傷つけたりなどの問題行動を起こしてしまう病気です。分離不安症になると、留守番をさせることができなくなります。
飼い主から離れることに寂しさや不安を感じることは、自然なことです。しかし、分離不安症になると極度の不安を感じ、自分の体を傷つけてしまうこともあります。
分離不安症を引き起こす対象は、飼い主や家族の中の特定の1人など、猫が愛着を持っている人物です。
猫が分離不安症になる原因とは
猫が分離不安症になる原因としては、急激な環境変化やトラウマのほか、飼い主から離れることに慣れていないことも挙げられます。
ここでは、それぞれの原因について見ていきましょう。
環境の急激な変化
生活環境が急激に変化し、ストレスから分離不安症になってしまうことは少なくありません。
猫は環境変化に弱く、大きなストレスを感じやすい動物です。最近引っ越した、同居猫と死別した、新しいペットや家族が増えた、飼い主の出社頻度が増えて家にいない時間が増えた、などの環境変化が、分離不安症の引き金になってしまう可能性があります。
トラウマ
飼い主が不在の時にトラウマになるような怖い出来事を経験した結果、分離不安症になることもあります。
たとえば、留守番中に大きな雷が鳴ってびっくりした、突然物が倒れてきて怪我をしかけた、などの出来事を経験すると、「飼い主がいない時にまた怖い思いをしたらどうしよう」とトラウマになってしまいます。
飼い主から離れることに慣れていない
飼い主が猫に構いすぎており、1人で過ごすことに慣れないまま成長すると、分離不安症になってしまう可能性があります。
母猫は、子猫がある程度成長すると、親離れできるように1人にさせます。子猫を威嚇したり攻撃したりして、わざと寄せ付けないようにします。
しかし、人間と暮らす猫は親離れをする機会がありません。1人で過ごすことに耐性がないまま成長した結果、分離不安症を発症してしまうケースが多く見られます。
特に、もともと甘えん坊で依存心が強い猫は注意が必要です。飼い主がいないことへの不安やストレスにどのように対処すればよいかわからず、問題行動を起こしてしまうのです。
分離不安症の症状とは
ここでは、分離不安症の症状を解説します。
身体に表れる症状
身体に表れる主な症状は以下のとおりです。
- 過度なグルーミングによる皮膚の炎症や脱毛
- 身体に噛みつくことによる傷
- 食欲不振/過食
- 嘔吐
- 特発性出血性膀胱炎
分離不安症になると、不安をやわらげようと過度にグルーミングをするようになります。
その結果、皮膚が炎症を起こしたり、脱毛が見られたりすることがあります。
自分で自分の身体に噛みついてしまい、傷ができてしまうことも少なくありません。
ほかにも、食欲不振あるいは過食が見られたり、食べた後に嘔吐してしまったりすることもあります。
ストレスから、特発性出血性膀胱炎になってしまうこともあるため注意が必要です。
行動に表れる症状
行動に表れる主な症状は以下のとおりです。
- 飼い主と離れると大声で鳴く
- 排泄に失敗する
- 去勢・不妊手術が終わった後もスプレー行為をする
- 攻撃的になる
- 物を壊す
- 誤飲する
- 飼い主の帰宅を激しく喜ぶ
- 飼い主を執拗に追いかける
これらの問題行動は、いたずらや悪意でやっているわけではありません。自分ではどうしようもできないほど強い不安やストレスを抱えており、なんとか対処しようとした結果問題行動につながっています。
また、飼い主の帰宅を異常に喜んだり、飼い主のことを執拗に追いかけたりする際も注意が必要です。飼い主からすると可愛いらしい行動ですが、飼い主から離れることができていないサインです。
分離不安症になりやすい猫の特徴とは?
分離不安症になりやすい猫の特徴は以下のとおりです。
- 甘えん坊な性格の持ち主
- 独占欲が強い
- 早期に離乳させられた
- 常に家族やペットと一緒に過ごしており、一人で過ごすことに慣れていない
- 留守番中に怖い経験をした
- 引っ越しや家族構成の変化など、生活環境に変化があった
- 虐待や育児放棄をされた経験がある
- 飼い主が途中で変わった
- 飼い主とのコミュニケーションが不足している
- ストレスの発散がうまくできていない
- 高齢や病気で精神が不安定である
さまざまな要因が分離不安症の引き金になりうるため、注意が必要です。
なお、品種による差は特にないとされています。
- 元気や食欲がない
- 吐いている
- 頻繁にトイレに行っているが、ほとんど出ていない
- 血尿の程度がひどい(ほとんど血液が出る)
猫を分離不安症にしないための予防法とは
猫を分離不安症にしないためには、子猫の時期から猫との接し方を考えることが大切です。
ここでは、猫を分離不安症にしないための予防法を3つ紹介します。
- 一人でも過ごせるように関わる
- 過度なスキンシップを控える
- 問題行動を起こしても冷静に対処する
一人でも過ごせるように関わる
分離不安症を予防するためには、猫が一人でも過ごせるよう工夫することが大切です。
一人で遊べるおもちゃを与えたり、小さい頃から留守番をさせる訓練をしたりして、飼い主がいなくても落ち着いて過ごせるようにしましょう。
留守番の練習では、いきなり長時間留守番させないようにしましょう。はじめは数分間の留守番からスタートし、徐々に時間を伸ばして無理なく慣れさせることがポイントです。
過度なスキンシップを控える
猫の自立を促すためには、飼い主が過度なスキンシップを控えることも重要です。
可愛いからといってずっと構っていると、飼い主と過ごしている時と留守番時の差が激しくなってしまいます。結果、飼い主から離れることに強い不安やストレスを抱えてしまうのです。
スキンシップは適度に抑え、猫を一人にさせる時間も設けるようにしましょう。
問題行動を起こしても冷静に対処する
不安やストレスから何かしらの問題行動を起こしてしまった場合は、冷静に対処しましょう。
大声で叱ったり叩いたりすると、「信頼している飼い主から裏切られた」と思い、ますます不安やストレスを抱えてしまう可能性が高いです。分離不安症になりうる要素を持っている場合は、その出来事がきっかけとなって分離不安症を引き起こしてしまう恐れもあります。
問題行動を起こしたからといって愛猫を責めるのではなく、原因や解決策を冷静に考えることが大切です。
愛猫が分離不安症になってしまった時の対処法は?
ここでは、愛猫が分離不安症になってしまった時の対処法を紹介します。
- 留守番中にリラックスできる場所を作る
- 留守番にポジティブなイメージを持たせる
- 静かに外出する
- 動物病院で治療を受ける
留守番中にリラックスできる場所を作る
分離不安症の傾向が見られる場合は、留守番中にリラックスできる場所を作ってあげましょう。
猫は、静かで四方を囲まれた、身を隠せるようなスペースを好みます。落ち着いて過ごせる場所を複数用意しておくことで、留守番中の不安がやわらぎ、安心して過ごせるようになるでしょう。
また、お気に入りのおもちゃや寝床、トイレ、ごはんなどが置いてある場所なら、ストレスなく快適に過ごせます。
留守番にポジティブなイメージを持たせる
留守番にトラウマを抱えて分離不安症を発症している場合は、留守番にポジティブなイメージを持たせることが効果的です。
たとえば、留守番中におやつの入ったおもちゃで遊べるようにする、自動給餌器を使って留守番中にお気に入りのご飯をあげるなどの工夫が考えられます。「留守番をしていればいいことがある」と理解できれば、留守番に対する恐怖心を緩和できるでしょう。
静かに外出する
留守番をさせるときは、静かに外出するようにしましょう。出かけることを猫にアピールしてしまうと、不安を抱えて落ち着かなくなってしまいます。猫を刺激させないよう、静かに外出するのが理想です。
また、外出前のルーティンを作らないようにしましょう。「上着を羽織ったら外出する」「猫に声をかけたら外出する」など、外出前のルーティンを作ってしまうと、飼い主が出かけることを察して不安になってしまうためです。
外出の準備をすると落ち着かなくなってしまう場合は、「出かける準備をしても外出しない」という行動を繰り返すのが効果的です。外出前の行動に不安を感じなくなる可能性が期待できます。
動物病院で治療を受ける
分離不安症が改善しない場合は、動物病院で薬物療法を受けるという選択肢があります。
薬物療法では、精神を落ち着かせる薬やサプリメントを与えます。不安がやわらぎ、飼い主への依存度を減らせる効果が期待できるでしょう。留守番をさせるトレーニングがやりやすくなるのもメリットです。
薬には複数の種類があり、副作用が出る場合もあります。服用する薬の種類は、獣医師と相談して決めましょう。
薬物療法の注意点は、効果が出るまでに1〜2か月ほどかかる場合があることです。また、薬物療法で分離不安症が完治するわけではありません。薬物療法と並行して、留守番に慣れさせるトレーニングを行いましょう。
愛猫のもしもに備えて保険に加入しましょう
愛猫のもしものトラブルに備えるためには、ペット保険の加入をおすすめします。
猫には人間のような公的な保険制度がありません。長期の通院治療や手術が必要になった場合、医療費は全額飼い主の自己負担となります。
ペット保険に加入していれば、もしもの事態が起きても治療費の補償を受けられるため、安心して対応できるでしょう。
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まとめ
猫の分離不安症とは、飼い主のような愛着を持った人と離れることに強い不安やストレスを抱えてしまう病気です。分離不安症になると、留守番をさせることが難しくなります。問題行動で物を壊してしまったり、自分の身体を傷つけてしまったりすることもあるため、早めに対処することが大切です。
分離不安症を防ぐためには、飼い主が接し方に注意しなければなりません。可愛いからといって常に猫と過ごすのではなく、一人にさせる時間も設けましょう。